構造医学を学ぶにあたり、一番に伝えたいことは「分からないからと言ってすぐに諦めない」ということです。何事もそうですが、全体像を理解し、実際に現場で運用できるまでには時間がかかります。この場におられる先生方は土曜日の診療を休んで熊本までお越しになっています。受講されておられる先生方は、学びを求める意識がとても高い方だとお見受けしています。
ですから、せっかく縁があって受講されているので、最初の方で分からないからと諦めないでください。
構造医学のとらえ方自体は特殊なわけではなく、自然科学の基礎に沿ったごく常識的な考え方です。例えば治療学においては、ヒトの内的環境と外的環境を可能な限り整えて、本来個体備わった自己修復・復元力が作動するよう導きます。この理解に、ヒトと取り巻く外的環境において、地球を含めた自然界である外的環境も同列に扱います。それを説明するための用語が多岐にわたってしまいます。例えば、医学生物学以外に物理学、数学、人類学、哲学、史学など。したがって、最初は慣れない用語に翻弄されます。さらに地球を超えて宇宙での物質生成の話まで及ぶことがあります。さすがに話が宇宙にまで及ぶと、現実の悩ましい臨床現場の話題にいつ戻れるのかと不安になります。しかし、ヒトを構成する元素(たとえばミネラルなどの重金属)の基礎的なふるまい知るためには、宇宙の物質生成の理解も必要であることが最近になって私にもようやくわかってきました。
大宇宙に育まれた小宇宙である我々の体は、学ぶほどにどこまでも奥深く不思議な世界が広がっています。この講座で広く深く納得できるまで学んでいただきたいです。