胸中のぞき穴

2020/02/25

「今日を楽しむものは花を活けよ
 一年先を楽しむものは花を植えよ
 三十年先を楽しむものは木を植えよ
 百年をおもんぱかるものは人を育てよ」
原文:中国古代の論集「管子」

かれこれ15年ほど前でしょうか、この言葉が実家の台所に貼ってありました。とある飲食店が啓発・広報用に刷った掲示物のようでした。私は食べ物を頬張りながらこの字面に目を通したものの、恥ずかしいことにまだまだ口の中身の方が旨く感じられておりました。当時の自分はまだ“活け花”を楽しむことしか知らなかったのだと思います。

改めまして、皆さまにはご厚情を賜り、構造医学も今年で何とか四十周年を迎えることとなりました。心より御礼申し上げます。自分の人生よりも長い歩みをもつ構造医学の記念式典に備えるとなると、身の引き締まる思いでございます。

そのうちAIが人類の知能を超えると予測されており、人がAIに支配されるストーリーまで聞きますが、時代がどんなに便利になっても「人」に代われる存在は現れないと思っています。知能面や労働技術では潔くAIに席を譲った方がいい分野もあるでしょう。でもどれだけ優れた人工知能があっても、人を根底から動かせるのは「人」だと思うのです。

例えば涙腺が緩むようなヒーリング作用のある旋律をAIが割り出したとします。あるいはお経を一字たりとも読み誤らず、相談すれば統計学的データに基づき実用性の高いコタエを出すお坊さんAIを利用した場面を想像して下さい。胸を打たれ、気持ちが軽くなりますか?

その賢さには脱帽ですが、畏敬の念を抱くには・・・。
人が出来そうにない事を「人」がする時にこそ、尊厳や感動が湧き、敬意を払えます。
それこそが人を心の底から動かす力であり、その点において人間は一生AIに引けを取らないでしょう。

たまたまAIを例にとりましたが、そもそもこの世に人工知能があろうがなかろうが、私の申し上げたい「人が最も重んじるべきもの」は伝わっていることと存じます。そのテーマはいにしえから遠い未来にわたる一本道であると信じております。

記念式典の準備に取り掛かろうにも、このような思いを差し置いては手が付けられませんでした。私どもスタッフのみならず、これまで共に同じ道を歩んでこられた皆さまと、ぜひこの機会に再認識できればとの思いです。

普段の私といえば、穴があったら入りたいほど恥ずかしいこと連発なのですが、今回は“穴”から日頃お伝えできない思いをコッソリ逃すイメージで書かせて頂きました。ここまでお付き合い下さりありがとうございました。
次の更新日は来週火曜日です。 See you next Tuesday😊

P.S. あなた様がお出でにならなければ、記念式典は始められませんよ!
(担当:クレ556)


40周年記念式典の先行申込の受付を開始しました。下のボタンか、お電話(096-212-8288)からお申込いただけます。

参加申込フォーム